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エンジニアリングマネージャーという仕事

エンジニアリングマネージャー(EM)は、自分でコードを書く側ではなく、エンジニアのチームが力を発揮できるよう、採用・育成・評価・体制づくりを担う管理職です。同じEMでも、組織が育ち始めの段階か、急に大きくなっている最中か、すでに成熟した大企業か、そしてアプリやWebサービスを作るチームか、サービスを裏で支える基盤チームかで、仕事の中身も裁量も大きく変わります。組織の成長フェーズと管掌チームの性質を選んで、自分に近いEM像を見てみてください。

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組織の成長フェーズ
管掌チームの性質

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スタートアップ × プロダクト開発チーム

開発チームの立ち上げ責任者

代表例 スタートアップのプロダクト開発チームEM(エンジニアチームの採用・育成・体制づくりを担う管理職) プレイングマネージャー(自分も開発を担当しながらチームを率いる管理職)

EM(エンジニアリングマネージャー)として、アプリやWebサービスを作るプロダクト開発チームを少人数のうちから率います。CTO(最高技術責任者。会社の技術面の責任者)と二人三脚で、エンジニアの採用、開発の進め方のルール作り、メンバーの育成までを一から組み立てる仕事です。人を管理する時間より、「そもそもチームの型を作る」時間が多くなりやすく、コードを書く側のエンジニアに比べて、技術そのものよりも「人と仕組み」に向き合う比重が大きくなります。

未経験からの難易度 マネジメント経験推奨

求人では5名以上のエンジニア組織のマネジメント経験を条件にする例がある。少人数のうちは開発リーダー経験から任されることもある

働き方の傾向 波がある

月の残業は目安15〜30時間程度(IT業界の平均は月16〜23時間程度という調査があり、少人数で開発も手伝う分、リリース前は上振れしやすい)

年収の中央値(参考) 800万円〜1000万円

求人の中心的なレンジ。ストックオプション(あらかじめ決めた価格で自社株を買える権利)が付く求人もあり、企業により上下

業務内容
  • エンジニアの採用(どんなスキルの人が必要かを整理して求人票にまとめ、企業から候補者へ直接スカウトを送る「ダイレクトリクルーティング」や面接を担当)
  • 開発の進め方のルール作り(例: 誰がいつまでに何を作るかを決める週次の定例会議、書いたプログラムを他のメンバーが確認してから公開する手順)
  • メンバーとの1on1(上司と部下が定期的に1対1で話す面談)での悩み・キャリアの相談
  • 開発計画の調整(PdM=「何を作るか」を決める担当や経営陣の要望と、チームが対応できる作業量を見比べて、公開時期を決める)
具体的な業務イメージ

午前は朝会(チームの進捗を15分ほど共有する会)に参加し、その後は候補者へのスカウト文面の作成や書類の確認に充てることが多いです。午後は面接が1〜2件入り、合間にメンバーとの1on1(1人30分程度、週に数人分)を行い、夕方にPdMや経営陣と今週の優先順位を調整する、といった流れが一例です。

直接見るメンバーは数名〜10名前後の会社が多く、採用は同時に複数のポジションを並行して進めます。人数が少ない分、自分もコードのレビューなどに入る場面があります。

成果物とツールの対応では、採用したい人物像の整理にはスプレッドシートや文書ツールでの要件の言語化、開発の遅れの把握にはタスク管理ツール(作業の一覧と進み具合を管理するツール)の見方、経営陣への報告にはスライド資料で課題と対策を短くまとめる力が必要です。

この仕事のやりがい
  • 自分が採用して育てたメンバーが、プロダクトを公開してユーザーに届ける姿を間近で見られる
  • チームの文化やルールをゼロから決められる裁量の大きさ
  • 会社の成長とともに、自分の組織がどんどん大きくなっていく実感
向いている人
  • メンバーの話をじっくり聞き、不満や不安の背景を整理できる人
  • 決まったやり方がない中で、自分で試して仕組みを作っていける人
  • 技術の細部より、チーム全体の成果に関心を持てる人
向いていない人
  • 自分でコードを書き続けることが一番の楽しみで、手を動かす時間を減らしたくない人
  • 整ったルールや前例の中で仕事を進めたい人
  • メンバーに厳しいことを伝える場面を避けたい人
つまずきやすいポイント
  • 人手が足りず、管理と開発の両方を抱えて手が回らなくなりやすい
  • 事業の方針変更が多く、せっかく決めた開発計画が白紙になることがある
  • 評価や昇給の仕組みがまだ整っておらず、メンバーへの説明に苦労しやすい
必要スキル
傾聴力・1on1の進行力 採用要件の整理力 開発経験(設計・レビューの理解) 経営陣・PdMとの調整力 優先順位づけの判断力
その後のキャリアパス例
  • VPoE(開発組織全体の責任者)・CTOへ
  • 急成長期の大きな組織のEMへ

🎮 この職種を疑似体験

リリース直前の少人数チームで、中心メンバーの一人が1on1で「評価もキャリアの先も見えなくて、辞めようか迷っている」と打ち明けました。あなたの次の一手は?

実務ではこう対応することが多いです

忙しい時期ほど、話を先送りにすると本人は「聞いてもらえない」と感じやすくなります。リリース前でも、まず短時間でも話を聞き、時間を取り直す約束をすることが、信頼を保つうえで大切です。

◎ それが実務でも評価される対応です

メンバーの話を聞き、不安の背景を整理するのがEMの基本の仕事です。そのうえで、役割と成長の道筋を言葉にし、評価や条件に関わる部分は経営陣とすり合わせることで、少人数チームの流出を防ぎやすくなります。

実務ではこう対応することが多いです

我慢を求めるだけでは、不満の原因が解消されず、かえって退職の決意を固めてしまうことがあります。評価や仕組みが未整備な時期だからこそ、本人の悩みを具体的に拾うことが求められます。

実務ではこう対応することが多いです

経営陣の了承なく約束をすると、後で実現できずに信頼を大きく損ねることがあります。条件に関わる話は、事前に経営陣へ確認してから伝えるのが一般的です。

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スタートアップ × 基盤・インフラ系チーム

立ち上げ期の基盤チームの舵取り役

代表例 スタートアップのSRE(サービスが止まらず安定して動くよう、監視や自動化の仕組みを作って運用するエンジニア)チームEM(エンジニアチームの採用・育成・体制づくりを担う管理職) インフラ責任者兼EM

EM(エンジニアリングマネージャー)として、サーバーやクラウド環境、開発者が使う共通の仕組みを整える「基盤チーム」を率います。基盤チームとは、アプリやWebサービスを作るチームの土台を支え、サービスが止まらないようにするチームのことです。立ち上げ期は人数が2〜5名程度ということも多く、技術面の判断と、採用や体制づくりの両方を一人で抱えやすいのが特徴です。コードを書く側のSREエンジニアと違い、チームが何に時間を使うかを決め、事業側との調整を引き受ける役割です。

未経験からの難易度 インフラ経験+マネジメント経験推奨

基盤の技術理解が前提になりやすく、インフラのリーダー経験から登用されることが多い

働き方の傾向 やや忙しめ

月の残業は目安20〜35時間程度(IT業界の平均は月16〜23時間程度という調査があり、障害時の緊急対応の当番がある分、上振れしやすい)

年収の中央値(参考) 800万円〜1000万円

情報が少なく参考程度。SRE領域のマネージャー求人を参考にした目安で、企業により上下

業務内容
  • インフラ担当エンジニアの採用(経験者が少なく競争が激しいため、必要なスキルを絞って求人票にまとめ、スカウトや面接を担当)
  • 障害対応の当番(オンコール=サービスが止まった時に呼び出されて対応する当番)の体制づくり
  • 基盤の改善項目の優先順位づけ(例: 異常を早く知らせる監視の整備、新機能を本番環境へ公開する作業の自動化)
  • クラウド費用(サーバーの利用料)の把握と、削減や増額の判断
具体的な業務イメージ

午前は前日の障害やアラート(異常を知らせる通知)の有無を確認し、チームの朝会で今日の作業を決めます。午後は採用面接やメンバーとの1on1(上司と部下が定期的に1対1で話す面談)、プロダクト開発チームからの依頼の優先順位づけに時間を使い、夕方は改善作業のレビューをする、という流れが一例です。

基盤チームは2〜5名程度ということが多く、自分自身も障害対応の当番に入る場面があります。夜間や休日に呼び出される可能性があるため、当番表を回して負担が偏らないようにするのもEMの仕事です。

成果物とツールの対応では、障害後の振り返り資料(ポストモーテム=原因と再発防止策をまとめた文書)は文書ツールで、毎月のクラウド費用の集計はスプレッドシートで、改善計画の経営陣への説明はスライド資料でまとめる力が必要です。

この仕事のやりがい
  • 自分たちの整えた土台の上で、サービスが問題なく成長していく手応え
  • 障害が減った、公開作業が速くなったといった改善が数字で見える
  • 技術とチームづくりの両方の経験を、立ち上げ期から積める
向いている人
  • 目立たない地道な改善に価値を感じられる人
  • 緊急時にも落ち着いて状況を整理し、優先順位をつけられる人
  • 事業側の要望と基盤の安定性の間で、バランスよく調整できる人
向いていない人
  • 夜間や休日の呼び出しの可能性に強いストレスを感じる人
  • 最新技術を自分で触り続けることを一番の楽しみにしたい人
  • 成果が「問題が起きないこと」という形で見えにくい仕事に物足りなさを感じる人
つまずきやすいポイント
  • 少人数で障害対応が特定の人に集中し、疲弊しやすい
  • 基盤の改善は成果が見えにくく、事業側から優先度を理解してもらいにくいことがある
  • インフラ経験者の採用が難しく、人が増えるまで自分が現場に入り続けることがある
必要スキル
クラウド・インフラの基礎理解 障害時の状況整理力 優先順位づけの交渉力 採用要件の整理力 費用管理の感覚
その後のキャリアパス例
  • VPoE(開発組織全体の責任者)・CTO(最高技術責任者)へ
  • 急成長期の大きな基盤組織のEMへ

🎮 この職種を疑似体験

3名の基盤チームで、夜間の障害対応がベテランの一人に集中しています。本人は「自分しか分からないので仕方ない」と話しています。あなたの次の一手は?

実務ではこう対応することが多いです

特定の人に対応が集中したままだと、その人が体調を崩したり退職したりした時にサービスを守れなくなるリスクがあります。本人が引き受けている状態こそ、見直しのサインと捉えることが多いです。

実務ではこう対応することが多いです

依頼を全て引き受けると、基盤の改善に使える時間がなくなり、障害がさらに増える悪循環になりやすいです。事業側に基盤改善の重要性を伝え、優先度を一緒に決めるのがEMの役割です。

◎ それが実務でも評価される対応です

手順の文書化と当番制への移行は、基盤チームの負担を分散する基本的な対策です。そのための時間を事業側と調整して確保することは、技術と組織の両面を見るEMならではの動き方です。

実務ではこう対応することが多いです

採用には時間がかかり、新しい人が入っても手順が整っていなければ引き継げません。採用を進めながら、今いるメンバーで負担を分散する工夫を並行して行うのが一般的です。

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急成長期 × プロダクト開発チーム

複数チームを束ねる組織づくり担当

代表例 急成長企業のプロダクト開発チームEM(エンジニアチームの採用・育成・体制づくりを担う管理職) 複数チームを見る開発マネージャー

EM(エンジニアリングマネージャー)として、人数が急に増えているアプリ・Webサービスの開発組織を束ねます。急成長期は、1つだったチームを複数に分けたり、新しく入った人が早く力を出せる仕組み(スケーリング=人数や事業規模が増えても回るように仕組みを広げること)を作ったりする仕事が中心です。評価制度(メンバーの成果や成長を判断する基準と手順)の整備や、増員に向けた採用計画づくりなど、「仕組みで組織を回す」比重が大きくなります。コードを書く側のエンジニアと違い、複数チームの採用・評価・配置をどう組み立てるかが成果になります。

未経験からの難易度 マネジメント経験が重視される

求人では複数名のチームを率いた経験や、評価・採用の実務経験を求める例が多い

働き方の傾向 やや忙しめ

月の残業は目安20〜35時間程度(IT業界の平均は月16〜23時間程度という調査があり、採用面接や会議が集中する分、上振れしやすい)

年収の中央値(参考) 900万円〜1100万円

求人の中心的なレンジ。管掌する人数や役職により、さらに上振れすることもある

業務内容
  • チームの分割と人員配置(人数が増えて意思疎通が難しくなったチームを分け、それぞれの担当範囲を決める)
  • 評価制度・等級(役割と期待値を段階に分けた表)の整備と、評価面談の運用
  • 採用計画づくりと、面接を担当できるメンバーを増やすための面接官研修
  • 新しくリーダーになったメンバーへのマネジメント指導(1on1=上司と部下が1対1で話す面談の進め方など)
具体的な業務イメージ

午前は複数チームのリーダーとの定例会議で、各チームの進み具合や困りごとを確認します。午後は採用面接や、評価制度の見直しに向けた打ち合わせ、新しくリーダーになったメンバーとの1on1を行い、夕方にPdM(「何を作るか」を決める担当)や人事部門と人員計画を調整する、という流れが一例です。

担当範囲は体制によって差が大きく、数名のチームを複数見る形から、リーダーを通じて十数名以上を見る形まで幅があります。直接話せる人数に限りがあるため、リーダーを育てて任せていく動き方が増えていきます。

成果物とツールの対応では、人員計画や評価結果の集計にはExcel(またはスプレッドシート)での数値整理、評価制度の説明や経営陣への報告にはPowerPointでの構成力、開発の進み具合の把握にはタスク管理ツール(作業の一覧と進み具合を管理するツール)の見方が必要です。

この仕事のやりがい
  • 自分が作った評価や配置の仕組みが、組織全体に広がっていく手応え
  • 育てたリーダーが次のチームを任されて活躍する姿を見られる
  • 会社の急成長を、組織づくりの面から直接支えている実感
向いている人
  • 個人の頑張りより、仕組みや制度で組織を良くすることに面白さを感じる人
  • 異なる考えを持つ複数のチームリーダーと、粘り強く調整できる人
  • 変化の速い環境で、仕組みを作り直し続けることを楽しめる人
向いていない人
  • 少人数のチームで、現場に近い距離感で仕事をしたい人
  • 一度決めたルールを長く安定して運用したい人
  • 制度の説明や調整といった、地道な対話に時間を使うことが苦手な人
つまずきやすいポイント
  • チームごとに評価の基準や進め方がバラバラになり、メンバーから不公平感が出やすい
  • 採用のペースが組織の成長に追いつかず、既存メンバーの負担が増えることがある
  • 組織が大きくなるにつれ、現場の細かい様子が見えにくくなる
必要スキル
評価制度の設計・運用力 採用計画の立案力 リーダー育成力 複数チームの調整力 人員計画の数値整理力
その後のキャリアパス例
  • VPoE(開発組織全体の責任者)へ
  • 大手企業の開発部門責任者へ

🎮 この職種を疑似体験

開発チームが3つに増え、チームごとに評価のつけ方がバラバラで、メンバーから「隣のチームと基準が違う」という不満が出ています。あなたの次の一手は?

実務ではこう対応することが多いです

基準を各チームに任せたままだと、チームごとの差が広がり、不公平感がさらに強まりやすいです。複数チームを束ねるEMには、基準をそろえる役割が期待されます。

実務ではこう対応することが多いです

数えやすい数字だけで評価すると、チームへの貢献や後輩の支援など、数字に出にくい働きが評価されにくくなります。成果と役割の両面で見る基準を作ることが多いです。

実務ではこう対応することが多いです

人事部門は制度の枠組みや運用を支えますが、エンジニアの仕事の中身を踏まえた評価の目安は、現場を知るEMが中心になって作る必要があります。人事と協力しながら進めるのが一般的です。

◎ それが実務でも評価される対応です

リーダー同士で目安をすり合わせ、等級ごとの期待を文書にして共有すると、納得感のある評価につながります。仕組みで組織を回すという、急成長期のEMならではの動き方です。

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急成長期 × 基盤・インフラ系チーム

拡大するサービスを支える基盤組織の育成役

代表例 急成長企業のSRE(サービスが止まらず安定して動くよう、監視や自動化の仕組みを作って運用するエンジニア)チームEM(エンジニアチームの採用・育成・体制づくりを担う管理職) プラットフォームチーム(開発者が使う共通の開発・公開環境を提供するチーム)のマネージャー

EM(エンジニアリングマネージャー)として、利用者の増加に合わせて大きくなる基盤チームを率います。基盤チームとは、サーバーやクラウド環境、開発者が使う共通の仕組みを整えてサービスが止まらないようにするチームのことです。急成長期は、アクセスの増加への対応と、基盤を担うエンジニアの採用・育成を同時に進める必要があり、チームを役割ごとに分けたり、プロダクト開発チームからの依頼を整理したりする「組織の設計」の比重が大きくなります。コードを書く側のSREエンジニアと違い、チーム全体の役割分担と優先順位に責任を持つ立場です。

未経験からの難易度 インフラ経験+マネジメント経験が重視される

求人では3年以上のエンジニアリングマネジメント経験(1on1=上司と部下が定期的に1対1で話す面談、評価・採用など)を条件にする例がある

働き方の傾向 やや忙しめ

月の残業は目安20〜35時間程度(IT業界の平均は月16〜23時間程度という調査があり、障害時の緊急対応の当番がある分、上振れしやすい)

年収の中央値(参考) 900万円〜1100万円

求人の中心的なレンジ。管掌範囲や役職により上振れすることもあり、企業により上下

業務内容
  • 基盤チームの役割分担の設計(例: サービスの安定運用を担うSREチームと、開発者が使う共通の開発・公開環境を提供するプラットフォームチームに分ける)
  • SLO(サービスの品質目標。例: 1か月の稼働率99.9%以上)を、プロダクト開発チームと話し合って決める
  • プロダクト開発チームからの依頼を受ける窓口づくりと、対応の優先順位の基準づくり
  • 基盤エンジニアの採用、メンバーの目標設定・1on1(上司と部下が1対1で話す面談)・評価
具体的な業務イメージ

午前は障害やアラート(異常を知らせる通知)の状況確認と、基盤チームの朝会が中心です。午後はプロダクト開発チームとの依頼の優先順位調整、採用面接、メンバーとの1on1を行い、夕方に障害後の振り返り(ポストモーテム=原因と再発防止策をまとめる会)に参加する、といった流れが一例です。

チームの規模は体制によって差が大きく、数名のチームを複数に分けて見る形が多いです。障害対応の当番(オンコール=サービスが止まった時に呼び出される当番)の表づくりや、負担の偏りを確認するのもEMの仕事になります。

成果物とツールの対応では、依頼の受付状況や対応の遅れの把握にはタスク管理ツール(作業の一覧と進み具合を管理するツール)、品質目標の達成状況の報告にはスライド資料、採用・人員の計画にはスプレッドシートでの数値整理が必要です。

この仕事のやりがい
  • 利用者が何倍にも増えても、サービスが問題なく動き続けることを支えている実感
  • 属人的だった基盤の運用が、仕組みとチームに置き換わっていく手応え
  • 基盤エンジニアが成長し、次のリーダーとして育っていく姿を見られる
向いている人
  • 依頼の優先順位について、事業側と冷静に交渉できる人
  • 一人の頑張りに頼らず、仕組みで安定を作ることに関心がある人
  • 障害時にも感情的にならず、チームを落ち着かせられる人
向いていない人
  • 目の前の技術課題を自分の手で解決することに一番のやりがいを感じる人
  • 依頼を断ったり優先順位を伝えたりする場面に強い抵抗がある人
  • 緊急時の連絡や判断を求められる場面を避けたい人
つまずきやすいポイント
  • プロダクト開発チームからの依頼が山積みになり、基盤の改善が後回しになりやすい
  • 採用が成長に追いつかず、既存メンバーに当番の負担が集中しやすい
  • 技術面の判断を担うリーダーとの役割が曖昧になり、迷いやすい
必要スキル
組織設計力 クラウド・インフラの基礎理解 事業側との優先順位の交渉力 採用・評価の実務力 障害時の指揮力
その後のキャリアパス例
  • VPoE(開発組織全体の責任者)・CTO(最高技術責任者)へ
  • 大手企業の基盤組織の責任者へ

🎮 この職種を疑似体験

サービスの利用者が急に増え、複数のプロダクト開発チームから基盤チームへの依頼が山積みです。メンバーは「どれから手を付ければいいのか分からない」と困っています。あなたの次の一手は?

◎ それが実務でも評価される対応です

窓口と優先順位の基準を作り、事業側と合意することで、メンバーが迷わず動け、依頼する側にも対応の見通しが伝わります。仕組みでチームを守るという、急成長期の基盤EMらしい動き方です。

実務ではこう対応することが多いです

来た順に全て引き受けると、緊急性や効果の大きさに関係なく作業が増え、メンバーが疲弊しやすくなります。優先順位の基準を作って判断するのが一般的です。

実務ではこう対応することが多いです

理由を説明せずに断ると、事業側との関係が悪くなり、基盤改善の重要性を理解してもらいにくくなります。断る場合も、基準と代替案を示して合意を取る形が多いです。

実務ではこう対応することが多いです

EMが一人で抱え込むと、一時的には片付いても同じ状況が繰り返され、自分もメンバーも消耗しやすくなります。仕組みを変えて、チームで回せる状態を目指すのが基本です。

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大手・成熟組織 × プロダクト開発チーム

大規模組織の一チームを専任で見るマネージャー

代表例 大手企業のプロダクト開発チームEM(エンジニアチームの採用・育成・体制づくりを担う管理職) 開発部のグループマネージャー

EM(エンジニアリングマネージャー)として、大企業の中で、アプリやWebサービスを作る一つのプロダクト開発チームを専任で率います。大手では採用は人事部門、品質確認は別部署、というように役割が分かれているため、EMの仕事は「担当チームのメンバーの育成・評価、予算の管理、他部署との調整」に集中しやすいのが特徴です。会社共通の人事制度に沿って評価を運用するため、スタートアップのように制度を一から作る場面は少なく、決められた枠組みの中で現場の成果を最大化する役割です。コードを書く側のエンジニアと違い、チームの成果と人の成長に責任を持ちます。

未経験からの難易度 社内昇格・経験者採用が中心

開発経験に加え、チームリーダーの経験を評価されることが多い。社内の昇格ルートが整っている企業もある

働き方の傾向 比較的落ち着きやすい

月の残業は目安15〜25時間程度(IT業界の平均は月16〜23時間程度という調査があり、役割分担が明確な分、下振れしやすい傾向)

年収の中央値(参考) 800万円〜1000万円

情報が少なく参考程度。事業会社のEM求人を参考にした目安で、企業規模や職位により上下

業務内容
  • 会社共通の人事制度に沿ったメンバーの目標設定・評価面談(1on1=上司と部下が定期的に1対1で話す面談を含む)
  • チームの予算管理(人件費、外部の開発会社への発注費など)
  • 他部署との調整(例: 企画部門、公開前に不具合がないかを確認する品質保証部門、情報漏えい対策を担うセキュリティ部門)
  • 外部の開発パートナー(開発を請け負う他社)の進捗・品質の管理
具体的な業務イメージ

午前は朝会や、部署をまたぐ関係者との定例会議に出席します。午後はメンバーとの1on1や評価面談、外部の開発パートナーとの進捗確認を行い、夕方に上長への報告資料を作る、といった流れが一例です。重要な判断は稟議(上司や関係部署に承認を求める社内手続き)を通すため、承認に必要な資料を先回りして準備する場面があります。

担当するチームは数名〜十数名ほどの規模が多く、企業や部署によって差が大きいです。新しいメンバーが入るときは、人事部門が採用を進め、EMは現場の面接官や受け入れ準備を担当する形が一般的です。

成果物とツールの対応では、予算の管理にはExcelでの数値整理、上長や他部署への報告・提案にはPowerPointでの資料構成、メンバーの評価コメントの記録には人事システムや文書ツールの操作が必要です。

この仕事のやりがい
  • 大規模なサービスや、多くの利用者に使われるプロダクトの開発に携われる
  • 整った制度の中で、メンバーのキャリアや成長をじっくり支えられる
  • 予算や人員など、大きな資源を扱う経験が積める
向いている人
  • 関係者それぞれの立場を理解し、粘り強く調整できる人
  • 決められた制度の中で、メンバーが納得する評価を丁寧に行える人
  • 長期的な視点で、チームの成長を支えることに喜びを感じる人
向いていない人
  • 自分の判断で素早く仕組みを変えていきたい人
  • 承認や手続きに時間がかかる環境にストレスを感じやすい人
  • 調整や資料作成より、技術に集中して手を動かしたい人
つまずきやすいポイント
  • 承認に時間がかかり、現場の「早く進めたい」という声との間で板挟みになりやすい
  • 会社共通の制度の制約があり、メンバーの希望をすぐには叶えにくいことがある
  • 調整業務が増え、技術や現場の変化への感覚が鈍りやすい
必要スキル
部署間の調整力 予算管理の基礎 評価面談・1on1の進行力 報告資料の構成力 外部パートナーの管理力
その後のキャリアパス例
  • 開発部門の責任者(部長・本部長クラス)へ
  • スタートアップのVPoE(開発組織全体の責任者)への転身も

🎮 この職種を疑似体験

新機能の公開に必要な承認が、関係部署をまたいでなかなか下りず、メンバーから「意思決定が遅すぎる」と不満が出ています。あなたの次の一手は?

実務ではこう対応することが多いです

大企業の承認手続きには、品質やセキュリティを守る目的があります。手続きを飛ばすと、問題が起きた時に大きな責任問題になるため、手続きの中で速くする工夫を探すのが一般的です。

実務ではこう対応することが多いです

状況の説明がないまま待たされると、メンバーの不満や不信感が積み重なりやすいです。遅れの理由と見通しを伝えるだけでも、納得感は大きく変わります。

◎ それが実務でも評価される対応です

遅れの原因を整理し、関係部署が判断しやすい資料を先に準備することは、大規模組織のEMに求められる調整力そのものです。メンバーへ状況を共有することで、現場の納得感も保ちやすくなります。

実務ではこう対応することが多いです

制度の見直しは、すぐには実現しにくく、時間がかかる取り組みです。目の前の案件を進めるためには、まず現行の制度の中で改善できる点を探すのが現実的です。

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大手・成熟組織 × 基盤・インフラ系チーム

分業された大規模基盤組織の統括役

代表例 大手企業のSRE(サービスが止まらず安定して動くよう、監視や自動化の仕組みを作って運用するエンジニア)・基盤組織のEM(エンジニアチームの採用・育成・体制づくりを担う管理職) クラウド基盤部門のマネージャー

EM(エンジニアリングマネージャー)として、大企業の基盤組織を統括します。基盤組織とは、サーバーやクラウド環境、開発者が使う共通の仕組みを整えてサービスが止まらないようにする組織のことです。大手では、運用保守・クラウド基盤・セキュリティなどチームが細かく分業されており、EMは複数のチームの連携、運用を委託している外部会社の管理、予算の管理、障害時の指揮といった「全体の安定運用」に責任を持ちます。コードを書く側のSREエンジニアと違い、組織全体の役割分担とリスク管理が仕事の中心です。

未経験からの難易度 社内昇格・経験者採用が中心

インフラの実務経験に加え、複数チームや外部委託先を見た経験が評価されやすい

働き方の傾向 障害時に波がある

月の残業は目安15〜30時間程度(IT業界の平均は月16〜23時間程度という調査があり、平常時は役割分担で下振れ、大きな障害時は上振れしやすい)

年収の中央値(参考) 900万円〜1100万円

情報が少なく参考程度。SRE・インフラ領域のマネージャー求人を参考にした目安で、企業規模や職位により上下

業務内容
  • 複数の基盤チームの連携の管理(例: 運用保守、クラウド基盤、セキュリティの各チームの役割分担と連絡経路の整理)
  • 運用を委託している外部会社の管理(契約内容に沿って運用が行われているかの確認)
  • 障害時の指揮(原因の切り分けの進行、関係部署への連絡、復旧後の振り返りの取りまとめ)
  • 年間予算とクラウド費用(サーバーの利用料)の管理、監査対応(セキュリティや法令の規定を満たしているかを確認される手続きへの対応)
具体的な業務イメージ

午前は夜間の障害やアラート(異常を知らせる通知)の確認と、各チームのリーダーとの定例会議が中心です。午後は外部の運用委託会社との打ち合わせ、メンバーとの1on1(上司と部下が定期的に1対1で話す面談)や評価面談、予算の確認を行い、夕方に上長への報告資料を作る、といった流れが一例です。

統括する組織の規模は企業によって大きく異なり、複数のチームと外部委託先を合わせて見る形が多いです。障害の対応は、現場の担当者が復旧し、EMは関係部署への連絡や状況報告、判断の取りまとめを担うのが一般的です。

成果物とツールの対応では、障害後の振り返り(ポストモーテム=原因と再発防止策をまとめた文書)は文書ツール、予算とクラウド費用の管理はExcelでの数値整理、経営層や上長への報告はPowerPointでの資料構成が必要です。

この仕事のやりがい
  • 社会的な影響が大きいサービスを、止めずに支えているという責任感と誇り
  • 大きな予算や多数のメンバー、委託先を動かして組織を運営する経験
  • 障害を減らす仕組みを改善し、組織全体の安定性が高まる手応え
向いている人
  • リスクを先回りして考え、手順やルールとして整えるのが得意な人
  • トラブル時にも冷静に状況を整理し、関係者に分かりやすく伝えられる人
  • 複数のチームや外部会社をまとめる、調整役を楽しめる人
向いていない人
  • 新しい技術を素早く試して導入していくことを一番の楽しみにしたい人
  • 担当の範囲が分業で区切られていることに窮屈さを感じる人
  • 報告書や監査対応など、記録を整える業務に抵抗がある人
つまずきやすいポイント
  • 障害時に、チームや委託先ごとの責任の範囲が曖昧で、対応が遅れやすい
  • 変更に承認が必要で、新しい技術の導入に時間がかかりやすい
  • 現場から離れ、実際の技術の状況が見えにくくなりやすい
必要スキル
障害時の指揮・状況整理力 クラウド・インフラの基礎理解 外部委託先の管理力 予算管理力 部署間の調整力
その後のキャリアパス例
  • IT部門・基盤部門の責任者(部長・本部長クラス)へ
  • スタートアップのVPoE(開発組織全体の責任者)・CTO(最高技術責任者。会社の技術面の責任者)への転身も

🎮 この職種を疑似体験

夜間に大きな障害が発生しました。運用保守チームとクラウド基盤チーム、外部の運用委託会社がそれぞれ「自分たちの担当ではないはず」と言い合い、対応が止まっています。あなたの次の一手は?

実務ではこう対応することが多いです

責任の議論を待つ間にも、サービスの停止が続き、影響が広がってしまいます。障害時はまず復旧を優先し、責任の整理は落ち着いてから行うのが一般的です。

◎ それが実務でも評価される対応です

復旧を最優先に指揮を取り、再発防止として連絡経路と役割分担を明文化するのは、分業が進んだ大規模組織のEMに期待される動きです。個人の責任追及ではなく、仕組みの改善に結びつけるのが基本です。

実務ではこう対応することが多いです

障害の最中に責任を追及すると、報告が遅れたり事実が隠されたりして、原因の特定がかえって難しくなることがあります。責任の追及ではなく、原因と仕組みに目を向ける振り返りが一般的です。

実務ではこう対応することが多いです

EMが現場作業に集中すると、関係部署への連絡や状況報告、判断の取りまとめが止まってしまいます。復旧作業は担当者に任せ、全体の指揮に専念するのが役割分担として一般的です。

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